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Inside/Outside


ここ数日慌しくジャーナルの更新が滞ってしまいました…。

先日もアップさせて頂きましたが、大分市ガレリア竹町
「wazawaza」1Fアネックス棟にて開催されている、
建築家・塩塚隆生さんの「1/100の風景」展を訪れました。

以下、建築に全く疎い私が、あくまで私感により感想を書きます。
ネタバレ?な部分が多々ありますので、もしこれから訪れようと
お考えの方がいらっしゃいましたら(12月20日まで開催されて
います)お読みになられない方が良いかと思いますので、何卒、
ご了解の程、お願い申し上げます。




当日はお昼間に伺おうと思っていたのですが、なんのかんのと
している内に遅くなってしまい、会場に到着したのはクローズ
間近の16時40分。(お店から歩いて5、6分なのに)
1度お会いした事のある「塩塚隆生アトリエ」のFさんが
受付にいらっしゃり、大変恐縮しつつもご好意に甘え、
見学させて頂きました。

会場であるアネックス棟の形状に呼応するかのように、
ジグザクに建てられた合板の上には、塩塚さんの過去
約10年分の建築作品の模型が配されています。
その周りの壁をぐるっと囲む形で貼られた、細長いフィルム
テープのような建築写真と共に(それは8mm映画の様な
断続的な連なりの様に見えます)塩塚さんの作品世界の
一端に触れる事の出来る、貴重な展示となっています。
手渡された小さなブルーのペンライトと(会場には照明が
ありません。が、大きな開口部から入る柔らかい自然光に
よってライトなしでも充分に見ることができます。)
シルバーの表紙のブックレットを元に、
「やっぱりシゲミハウス素晴らしい…」とか、
「サイレントハウスの素材とかたちのギャップたまんない…」
などと、ぶつぶつ考えながら、丹念に見て回りました。



そして僕が特に印象的に感じたのが、入り口近くに配された、
ひときわ目を引く大きな箱型のブース。
何の装飾も施されていない合板で組まれた180cm×180cm
の立法体には、三角形や台形や長方形など大小様々な形
の「穴」が開けられ、その隙間から光が漏れています。
その穴は一見、無規則に切り取られた様な印象があります。
しかしそれ故、その隙間から箱の中を覗いて見たくなる。
等身大の箱には小さなプレートが付けられていて、
こう記してあります。

Inside/Outside

切り取られた隙間を覗(のぞ)いてみてください。
窓がくり抜かれた建物の写真が見えます。
その窓からは向こう側の通りの様子が見通せます。
もしかすると、誰かがこちらを覗いているかも知れません。
その人からは、あなたが覗いている隙間も建物の窓で、
あなたは窓から覗いている人、に見えます。
あなたがこの隙間を覗いた時、隙間は窓に変わり、
あなたが居る「通り」はその建物の「室内」にかわります。



無規則な「隙間」は中を覗き込む事によって「窓」に変わります。
そして「外側」から「内側」を覗いている自分がその瞬間から、
「内側」から「外側」を覗いているという空間の移動が成されます。
また、表側だと思っていた装飾の無い合板側が裏側になり、
裏側だと思っていた箱の内部は表側(建物の外部)になります。
「覗く」という簡単な行為によって、このように大きな感覚の変化を
もたらすという作用を、殊更、難しい手法を用いず与える事が出来る、
という着想に、僕は非常に強い感銘を受けました。
いえ、素人のなんだそりゃな感じ方だとは思うのですが…。
窓と枠。人と空間。表と裏。光と影。
内部と外部の関係性。Inside/Outside。
正しく、塩塚さんの建築における「essential」がこの箱の形態に
表されているではないか…と感じました。
これまたミースとロースの違いもわからない無知無学な素人が、
偉そうに語るなって感じですが(笑)

僕がその箱の中に入り(隙間から中に入る事ができます)
凄いなーと感心している間に、Fさんが模型の中にペンライト
を入れて、見せて下さいました。そして、
「これもなかなかいいですね。」
と言って微笑んで下さり、僕はまた打ちのめされてしまいました。
夕闇が迫り、薄暗くなった会場で、内部から光を発する「アキ
工作社」の建築模型は、静かなキャンドルの炎の様に美しい。

Inside/Outside

| A Private Note | 20:08 | comments(4) | trackbacks(0)
コメント
文中登場の"F"でございます。
いよいよ寒さが増してきましたね。初雪も近そうです。

さて、先日はご来場&レポートありがとうございます!
おお、そう言う風に見たり感じたりできるんだ、と新鮮な驚き。
客観的な視点で、主観的な意見をいただける、というのはとても嬉しいです。

日が暮れて、ちいさなライトの、ほのかな光で目を凝らして建築を見る、というのも味わい深いものです。(といいながら17時でクローズなのですが。)
先週ビクトル・エリセ監督「ミツバチのささやき」を劇場で観たのですが、やっぱり映画は光の芸術だな、と再認識しました。もしかしたら今回の展示にも少し通じるものがあるかも、などと手前味噌ながら感じています。

では、またお店にお邪魔させていただきます。
| F-san | 2009/12/16 4:46 PM |
!!!!!!

F様、このような拙いブログにコメントを頂戴し、
誠にありがとうございます!!

まさか、お目にお掛けする事になるとは露とも考えず、
(といってもWEB上に書き込んでいるのですが…)
好き勝手に素人の考えを綴り、本当に申し訳ございません。
こうして素敵なご返信を頂き、驚きと恥ずかしさと共に、
大きな喜びを感じております。

先日も遅い時間に訪れたのにも関わらず、ご親切かつ
ご丁寧にご案内して頂き、誠にありがとうございました。
素晴らしいですよ!とお店で宣伝しまくっております。
(ご迷惑をお掛け致します…笑)

あのペンライトにはそういった趣意が含まれているもの
だったのか…と、また感慨を深くしております。
恥ずかしながら、ビクトル・エリセ監督の「ミツバチのささやき」は
未だ観た事が無く、以前から見たい見たいと思っていた
映画でしたので(とって付けたみたいですが本当です!)
今度、機会を見つけ必ず鑑賞したいと思います。

内容、写真等に不適切な点等がございましたら、
(全てかもしれませんが…)
ご指摘下さいますと幸いです。すぐに訂正致します。
本当に素晴らしい展示会で、私自身色々と考えるきっかけを
与えて頂きました。大分という普段、私達が生活を送る場所に
塩塚様のような建築家様・表現者がいらっしゃり、その作品
を日々体感できるというのは得難い喜びです。
今後も陰ながら、ご活躍のほど、お祈り申し上げます。

それでは時節柄、ご多忙のことと存じますが、くれぐれも
お体ご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
塩塚様にも、何卒よろしくお伝え下さいます様、
お願い申し上げます。

それでは、この度は誠にありがとうございました。
ぜひ、また当店にもご来店下さい!
心からお待ち申し上げます。  welles 竹下 創

| welles | 2009/12/16 7:40 PM |
たびたびの登場にて失礼します。
アトリエblogにて、こちらへのリンクを張らせていただきました。良かったでしょうか??
http://shioatl.exblog.jp/

ビクトルエリセのもう一つの名作「エルスール」シネマ5で明日金曜日の朝9:40に上映されますよー。(明日が最後)
すっかり遅い時間になってしまったので、この情報は間に合わないかも・・・。

もう一つ余談をば。
シオツカアトリエでは、beatlesデジタルリマスター版のAbbey Roadがヘビーローテション中です。仕事が煮詰まってくると、頭の上からシルバーハンマーが落ちてきそうになりますxxx
| F-san | 2009/12/17 8:21 PM |
F様

ご返信が遅くなり、大変申し訳ございません!

!!!!!!!!!!

と、とんでもございません…(涙)

塩塚様の、アトリエblogをご覧になられている方々の
お目にお掛けするには、あまりにもお恥ずかしい内容で
恐縮の極みですが、身に余る光栄です!
本当にありがとうございます!!

「architecturephoto.net」のG様にも、上記の記事を
ご紹介して頂き、(塩塚様、F様には許可も頂かず、
本当に申し訳ございません)いつもの3倍強のアクセス
があり、びっくりいたしました。
塩塚様の世界的な注目度の高さと、architecturephoto.net
様の影響力の強さに、今更ながら驚かされております。
私も、ますます「建築」に興味が沸いて参りました。
今後、少しづつ勉強していきたいと思います。

「エル・スール」もシネマ5さんで上映されていたんですね…。
全く存じ上げませんでした…。営業中の身なれど、今日の
夕方からの回に行こうか非常に頭を悩ませております(笑)
キアロスタミやカウリスマキ等は結構見ているのですが、
エリセはまだ見た事がなく、この機会を逃すと後悔しそうです…。

そして塩塚様のアトリエには「Abbey Road」が!
感涙です…。我慢していましたが、やっぱりデジタル・
リマスターBOX、買います(笑)
私もお店が暇な時に時折、ルーシーがスカイをダイアモンド
を手に飛んでいる姿を目にします(笑)
と、昨今、この表現はまずいですね(笑)

本当に、私にはもったいない、素敵なコメントを頂き、
ありがとうございます!
今後とも、何卒、よろしくお願い申し上げます。

welles 竹下 創
| welles | 2009/12/18 2:20 PM |
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